財務分析による判断
財務分析による判断
再生するか、清算するかの判断は、まず事業の状況をしっかりと把握することから始まります。財務状況を正確に分析することで、再生が現実的なのか、それとも清算という選択肢を検討すべきなのかが見えてきます。
当事務所では、財務データの分析や事業価値の算定など、再生可能性の診断についてもサポートしています。
ここでは、判断に必要となる主な財務上のポイントを詳しく解説します。
(1)清算額と現金獲得額との比較
事業を続けた場合に将来得られる資金(キャッシュフロー)と、今、事業や資産を売却した場合に得られる金額(清算価値)を比較することが、最初の重要なステップです。
病院・クリニックが保有する資産には、医療機器、建物、土地、運営権など多岐にわたります。これらを売却するとどれほどの資金が手元に残るのかを算定し、それと将来の利益見込みを比較します。
この「事業価値(将来キャッシュフローの現在価値)」と「清算価値(資産売却額)」を比較し、清算価値の方が高いと見込まれる場合には、清算を選択する方が全体として合理的と判断されます。
たとえば、今後の患者数減少が見込まれる病院・クリニックでは、売却価値が安定している一方で、将来的な収益は下がる可能性があります。この場合、事業を続けるよりも清算する方が、経済合理性が高くなり得ます。
このような比較を行うことで、感覚や希望ではなく、客観的な数字に基づいた判断が可能となります。
(2)キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書は、お金の流れを「営業」「投資」「財務」の3つに分けて示した資料です。倒産リスクが高まっている病院・クリニックでは、借入金の返済負担が重く、資金繰りが厳しくなっている例が多くあります。
そこで重要なのが、
「借入金の返済がなかった場合でも、病院・クリニックが事業からプラスのキャッシュを生み出せるかどうか」
という点です。
営業キャッシュフローが赤字のままでは、借入金を全額免除したとしても、結局は同じ問題が繰り返されます。このような状況では、事業そのものが利益を生まない構造になっている可能性が高く、再生は非常に困難です。
一方で、
営業キャッシュフローが黒字の場合は、借入金条件の見直しや債務圧縮を行うことで再生が可能となるケースが多くあります。
病院・クリニックの場合、診療報酬の入金タイミングや設備投資負担が重く、表面上は赤字に見えても本業は黒字というケースもあります。
キャッシュフロー計算書は、こうした「本当の意味での収益力」を判断するうえで非常に有効です。
(3)事業継続性の検討(既存法人で継続するか、譲渡するか)
再生が可能と判断されたとしても、
- 既存法人のままで事業を続けるべきか
- 他者に事業を譲渡すべきか
を検討する必要があります。
医療法人の場合、診療所・クリニックの経営を他の医療法人に譲渡し、医療サービスを継続していく方法も一般的です。
ただし、倒産懸念がある病院・クリニックでは、買い手側が慎重になるため、買収希望者が限定されることが多く、結果として買収金額が低くなる傾向があります。また、財務悪化が進むほど選択肢が狭まり、譲渡条件も不利になるため、早期に専門家へ相談することが極めて重要となります。
当事務所では、上記のようなステップで最適な手続きをご提案いたします。ご質問・ご相談はお気軽にお問い合わせ下さい。
(文責:内藤)
