交通事故と診療報酬について
交通事故でけがをした患者の治療費は、多くの場合、加害者側の保険会社から病院に対して直接支払われることになります。
そのため、通常の患者に対する対応とは異なり、治療後も、患者には窓口では支払ってもらわず、後日、保険会社に請求するといった対応がとられています。
この場合の治療については、保険診療ではなく、自由診療で行われることも多いかと思います。
もっとも、病院が加害者側の保険会社から、治療費の支払いを受けることができるためには、当然ですが、少なくとも、加害者側の保険会社が保険に加入していること、被害者(患者)が診療情報提供に関する同意書を保険会社に提出していること、が必要になります。
そのため、あとあとになって、以下の事実が判明して加害者保険会社に請求できいない場合があります。
① 実は加害者が保険に加入していなかった(保険が切れていた)、
② 同意書が提出されていない(患者がその後も提出しようとしない)、
③ 自損事故であり、請求する加害者保険会がない。
④ 当て逃げであり、加害者が不明である。
⑤ 相手は自転車であり、自転車保険に未加入だった
以上の場合には、保険会社から治療費が支払われず、結局、あとあとになってから患者に対して請求しなければならなくなる場合もあります。
このようなことがないよう、交通事故でけがをした患者の治療の際も、どのような事故形態であるか、
自損事故か、加害者が不明となっていないか、対自転車野事故かなどを
事前に確認することが望ましいと言えます。
そうして、相手方保険会社に対して請求できないケースを想定して、
健康保険や、労災保険を使うことも検討対象となってきます。
加害者の任意保険での対応となれば、自由診療が基本となるため、
保険診療よりも手厚い医療が可能となります。そして、診療報酬についても、150%ないし200%での請求となります。
しかし、それらが後々になって加害者保険会社が対応外となった場合には
患者本人からの回収となるため、その方の資力によっては回収困難となります。
裁判での診療報酬債権の請求の場面だけではなく、その前段階においても、取り得る選択肢は複数ありますので、各場面においてご不明な点がありましたら、弁護士への問い合わせをお勧めいたします。
また、交通事故であるからといって、それだけで健康保険が使えなくなるわけではありませんので、保険診療とすることも検討対象となってきます。
裁判での診療報酬債権の請求の場面だけではなく、その前段階においても、取り得る選択肢は複数ありますので、各場面においてご不明な点がありましたら、弁護士への問い合わせをお勧めいたします。