コラム

遺言の種類

 

遺言の種類

遺言の種類には、通常次の3種類があります。

【自筆証書遺言】

自筆証書遺言は、遺言者本人が、本文の全文・日付・氏名を自筆で書いた書面に捺印したものです。
用紙は何でも構いませんが、ワープロ文字や代筆は認められず、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければなりません。ただし、平成30年の民法改正により、平成31年1月13日以降は、財産目録については、パソコン等で作成することが可能となっています。
財産目録をパソコン等で作成する場合であっても、それ以外の部分は、自筆で書く必要があります。また、財産目録の毎葉(両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければなりません。
★ 遺言書保管制度について
自筆証書遺言については、法務局に申請することで遺言書を保管してもらう制度(遺言書保管制度)が令和2年に始まっています。遺言書は、原本は遺言者が死亡後50年間、画像データは150年保管されることになっています。遺言書保管制度を利用することによって、遺言書の紛失・亡失を防げるほか、相続人等の利害関係者による遺言書の破棄、隠匿、改ざん等を防ぐことが出来ます。
遺言書保管制度を利用すれば、相続開始後、家庭裁判所による検認が不要となります。
あらかじめ希望することで、死亡の事実が確認できたら、法務局から通知希望者に遺言書が保管されている旨を通知することも可能です。

【公正証書遺言】

本人が公証人役場に出向いて証書に内容を記載して署名・捺印した上で証書を封じ、同じ印鑑で封印をします。
この証書を公証人1人と証人2人以上の前に提出し、自分の遺言である旨を告げ、住所氏名を述べます。
それを公証人が封紙に日付と共に記録し、本人と証人と共に署名捺印して作成します。

【秘密証書遺言】

公正証書遺言と同じように公証役場で作成するのですが、遺言書の内容を密封して、公証人も内容を確認できないところが相違点です。
自筆証書遺言と秘密証書遺言は、作成時点でその内容を本人以外に知られることがなく、プライバシーを守ることができますが、本人の死後に家庭裁判所で検認の手続きが必要となります。
公正証書遺言は、本人が公証人役場に出向き、証人2人以上の立会いのもとで、遺言の内容を話し、公証人が筆記します。
そして公証人は、記録した文章を本人と証人に読み聞かせたり、閲覧させたりして筆記の正確さを確認し、それぞれの署名・捺印を求めます。
これに、公正証書遺言の形式に従って作成した旨を公証人が記載し、署名・捺印して完成します。
なお、言葉の不自由な人や耳の不自由な人の場合は、本人の意思を伝えることのできる通訳を介して遺言を作成することができます。
また、相続人になる可能性のある人(推定相続人、直系血族、未成年者、受遺者など)は、公証人役場での証人になることはできません。

以上3種類の遺言のほかに、本人の臨終間際に第三者に口述筆記をしてもらい、その内容を確認する証人2人以上が署名・捺印して作成することも可能です

この場合、親族などが筆記したものは、歪曲の恐れがあるため認められません。

この場合の証人も、公証人役場での証人資格と同様です。

これは緊急的な措置で、本人が健康でしっかりした意識状態で遺言作成することが望ましいです。