コラム

M&Aによる事業再生

M&A 医療法人 合併

医療機関経営におけるM&Aの必要性

病院経営が上手くいかない、このまま長期的に病院経営を続けていくことに不安がある、後継者がいない──このような課題を抱える医療機関は少なくありません。また、事務作業の人手不足や経営効率化の必要性に悩むケースも多く見られます。

こうした課題の解決策の一つとして、医療法人の合併他の医療機関への事業承継、あるいは他院からの承継といったM&Aが挙げられます。M&Aは経営再建だけでなく、事業継続・発展のための有効な手段になり得ます。

医療機関におけるM&Aの特徴

医療機関が他の医療機関に経営を承継させる場合、一般の営利企業と比べて支援先(承継先)を探しやすい傾向にあります。営利企業では市場参入が容易であるため、M&Aよりも競合参入による市場獲得が合理的なケースもあります。

一方で、医療機関は病床規制などにより他の医療圏への進出が難しいため、規模拡大を目指す場合はM&Aを活用するしかありません。そのため、医療機関のM&A需要は比較的高いといえます。

また、慢性的な医療人材不足の中で、既存スタッフを承継できる点でもM&Aのメリットは大きいと考えられます。

医療機関M&Aの特徴を示すイメージ

M&Aによる経営安定の可能性

一般の企業では経営破綻が表面化すると売上回復が困難ですが、医療機関は地域社会のインフラであり、一定の患者需要が見込まれます。そのため、M&Aを通じて医療体制を再構築すれば、時間をかけて経営を安定化できる可能性が高いといえます。

さらに、医療スタッフの充実や診療内容の見直しによって、地域の医療ニーズに沿った形で再生が進むケースも少なくありません。

地域医療を守るためのM&Aの意義

経営悪化により病院を閉鎖せざるを得ない状況であっても、他の医療機関からの支援を受けて診療を継続できる場合があります。これは、単なる経営再建にとどまらず、地域医療への責任を果たすという観点でも非常に重要です。

したがって、医療機関の再生を図るうえでは、M&Aを積極的に検討することが推奨されます。

当事務所の弁護士は医療機関のM&Aに関する豊富な経験を有しております。具体的なケースに応じた最適な方法をともに検討いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

〔文責 片山〕